金属六ホウ化物の表面科学研究

Surface science studies of metal hexaborides

2012.04.27掲載
REVIEW ARTICLE

Published : 2012.04.16 / DOI : 10.1088/1468-6996/13/2/023002

注目するポイント

LaB6単結晶熱電子放射陰極は,高輝度,長寿命という優れた性能を持ち,それまで使われていたタングステンフィラメント陰極に替わって広く用いられることになり,開発から20年以上を経過した今も公汎に使われています.

多くの材料科学者にとってはエキゾチック材料とも言えるLaB6が熱電子放射陰極として使われることになったのは,その特徴的に低い仕事関数(~2.4 eV)にあります.この低い仕事関数が何に起因するかという表面科学的興味からLaB6の表面科学研究が行われることとなりました.LaB6単結晶熱電子放射陰極の開発のために確立した単結晶育成技術が,良質で大型の単結晶を供給することでその表面科学研究を支えることになり,その後多くのLaB6および金属六ホウ化物の表面研究が行われ,例えば,LaB6の(100)最表面がLaで終端されていること,それが低い仕事関数に結びつくことがわかりました.今またLaB6をはじめとする金属六ホウ化物のナノ材料に注目が集まっています.本レビューはLaB6をはじめとする金属六ホウ化物の表面科学研究から得られた広範な知見を包括的にまとめています.今後のナノ材料研究展開に多くの重要な情報を提供しています.

La原子(赤丸)で終端されているLaB6 (100)最表面

論文情報

著者
Michael Trenary
引用
Sci. Technol. Adv. Mater.13(2012)023002.
本誌リンク
http://doi.org/10.1088/1468-6996/13/2/023002