Focus on Properties and Applications of Perovskites
Published : 2015.03.27 / DOI : 10.1088/1468-6996/16/2/020301
Focus on Properties and Applications of Perovskites
Sci. Technol. Adv. Mater. Vol. 16 (2015).
Guest Editor: Fatih Dogan, Hong Lin, Maryline Guilloux-Viry and Octavio Pena
CaTiO3にその名前の起源をもつペロブスカイト構造物質は,立方晶の各頂点にCaが,体心に金属Tiが,そしてTiを中心として,酸素Oは立方晶の各面心に配置している.CaとTiのサイトには様々な金属元素が入り,立方晶の構造が歪むことで,本来絶縁体で非磁性の物質の電気的・磁気的特性に多様な性質が現れる.その例としては,30年前に固体物理学を震撼させた高温超伝導体の発見から,最新のCaサイトがMeNH3+により占有されているペロブスカイト系太陽電池まで,個性の強いスターたちの枚挙に暇がない.
本特集では,
- ペロブスカイト系太陽電池
- ナノ強誘電体
- 排気ガス浄化触媒物質
- Si, Ge, GaAsへのBaTiO3薄膜形成によるペロブスカイト物質群とのハイブリッド化
- 圧電体
- 磁性体
- 高温用ペロブスカイト半導体に整合する導電性物質
と,最近のペロブスカイト材料研究を網羅する構成となっている.
特筆すべきは,John B Goodenough教授 (University of Texas at Austin)のナノ強誘電体のレビューである.教授は,古くはGoodenough-金森則で磁性分野の超交換相互作用で知られ,また1980年にはリチウムイオン電池の実用化につながるLiCoO2電極の開発で知られている.実際,リチウムイオン電池は,その後,東レやSonyにより研究が進み,1991年に実用化され広く普及している.更に,ピエゾ・アクチュエーターのパイオニアである内野研二教授 (The Pennsylvania State University) の同分野の壮大なレビューがある.加えてJames Scott教授 (Cambridge University St. Andrews University)によるナノ強誘電体を統一的に理解する教科書的レビューが連なる.
最新の同特集の話題としては,出版後,多くの読者を集めている論文があり,たいへんに読み応えのある特集となっている.
- A review of molecular beam epitaxy of ferroelectric BaTiO3 films on Si, Ge and GaAs substrates and their applications, Lucie Mazet et al, Sci. Technol. Adv. Mater. Vol. 16 (2015) p. 036005.
- Recent progress in efficient hybrid lead halide perovskite solar cells, Jin Cui et al, Sci. Technol. Adv. Mater. Vol. 16 (2015) p. 036004.
論文情報
- 著者
- Fatih Dogan, Hong Lin, Maryline Guilloux-Viry and Octavio Peña
- 引用
- Sci. Technol. Adv. Mater.16(2015)033501.
- 本誌リンク
- http://doi.org/10.1088/1468-6996/16/2/020301