Novel approach to the fabrication of an artificial small bone using a combination of sponge replica and electrospinning methods
Published : 2011.05.27 / DOI : 10.1088/1468-6996/12/3/035002
注目するポイント
この論文は,スポンジレプリカ法とエレクトロスピニング法とを組み合わせて骨の海綿質と緻密質の両構造を持つ,実際の骨構造を模した生体適合性を持つ人工骨の作成を報告している.
従来の研究は骨中心部の海綿質骨構造の研究に重点が置かれて来たが,実用を考えた人工骨の作成では,骨表面部の強度のある緻密質骨構造も考える必要があり,しかもそこには骨形成に必要な栄養液の流路となるハバース管が通っていなくてはならない.
研究者達はまずスポンジレプリカ法により骨中心部の海綿質骨構造を作成する.まずポリウレタンスポンジをZrO2スラリーに浸し,焼成してZrO2スポンジを作成し,これをbi-phasic calcium phosphate (BCP)/ZrO2スラリーに浸し,焼成後,最後にBCPスラリーに浸してZrO2/BCP-ZrO2/BCP海綿質骨構造を作成する.
一方,ハバース管のある緻密質骨構造の作成においては,まずポリメチルメタクリレート-ポリカプロラクトン溶液に水酸アパタイトを分散させたもの(polymethylmethacrylate-polycaprolactone-hydroxyapatite, PMMA-PCL-HAp)を0.3m径の鉄ワイヤーにエレクトロスピニング法で塗布する.これを束ね,さらにPMMA-PCL-Hapを同様に塗布,この束をスポンジ法で作成したZrO2/BCP-ZrO2/BCP海綿質骨構造の周囲に束ね,再びPMMA-PCL-Hapを同様に塗布,最後に鉄ワイヤーを引き抜き,ハバース管とする.
このようにして作成した人工骨は実際の骨同様の高い強度と約70%のポロシティーを持ち,骨再生にとって重要な特性を兼ね備えることが出来る.
人工骨の実用においては生体適合性は不可欠な要素である.細胞毒性のテストにおいて骨芽細胞MG-63のMTT (3-(4,5- dimethylthiazol-2-yl)-2, 5-diphenyltetrazolium bromide) assay上生存率は90%を越えた.
本研究は人工骨作成における材料,プロセス技術の開発において本研究は重要な進展を示したと言える.
論文情報
- 著者
- Yang-Hee Kim and Byong-Taek Lee
- 引用
- Sci. Technol. Adv. Mater.12(2011)035002.
- 本誌リンク
- http://doi.org/10.1088/1468-6996/12/3/035002