発光金属ナノクラスターの合成と機能応用における最近の進歩

2013.12.21掲載
REVIEW ARTICLE

Published : 2013.12.20 / DOI : 10.1088/1468-6996/15/1/014205

発光金属ナノクラスターは数個から数十個の金属原子からなる新しい種類の発光材料であり,その振る舞いは,単独の金属原子としての振る舞いと,数百個以上の原子からなるナノ粒子としての振る舞いとの間の,欠けていた環の中間の部分を埋めることになる.さらに,金属ナノクラスターは光学イメージング,センサー等関連分野に喫緊とされている多くのニーズに対応しえる新しい材料システムとなることが期待され,その開発に役立つ豊富な情報を提供しつつある.

過去10年,金(Au)と銀(Ag)のナノクラスターが強力に研究されてきた一方で,白金(Pt)とか貴金属ではない金属からなる他のタイプのナノクラスターは,前者と比肩しえる,ないしはより興味深い発光特性を示すにもかかわらず,それ程で研究されてはこなかった.

Science and Technology of Advanced Materialsに掲載されたHong-Tao SunおよびYoshio Sakkaによるこのレビュー論文は,Pt,モリブデン(Mo),ビスマス(Bi)および合金の発光ナノクラスターを紹介し,それぞれの利点,欠点を比較している.著者等はまた将来の研究予測からそれらのセンサー,バイオイメージング,環境発電(エネルギーハーベスト),エネルギー変換などの分野への開発の可能性を議論している.

この論文に紹介された金属ナノクラスターの低コスト,化学安定性,コロイド安定性,光学安定性といった優れた特性から,今後,光学イメージングおよび関連分野で,金属ナノクラスターの広範囲の応用が見いだされることが期待されている.

著者連絡先:Hong-Tao Sun, College of Chemistry, Chemical Engineering and Materials Science, Soochow University, Suzhou 215123, People’s Republic of China Yoshio Sakka, Advanced Ceramics Group, Materials Processing Unit, National Institute for Materials Science (NIMS), 1-2-1 Sengen, Tsukuba-city, Ibaraki 305-0047, Japan

論文情報

著者
Hong-Tao Sun,Yoshio Sakka
引用
Sci. Technol. Adv. Mater.15(2014)014205.
本誌リンク
http://doi.org/10.1088/1468-6996/15/1/014205